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始めに このサイトは攻略を目的としています。 それ以外の目的はありません。 ここに掲載されている画像を無断で使用してはいけません。 著作権については以下の通りです。 製作者 【KMQ SOFT】 ■ムニエル様 (ゲーム原案・グラフィック・効果音作成) ■クライヴ様 (グラフィック) ■qra様 (プログラム・グラフィック) 著作権について このゲームは「ジョジョの奇妙な冒険」の二次創作物です。「ジョジョの奇妙な冒険」の著作権は、荒木飛呂彦氏・集英社が所有していると思われます。また、BGMの著作権はゲーム中に表示されるミュージシャンやグループのメンバー・レコード会社等が所有していると思われます。 MIDIファイル自体は海外のサイトで流通しているものを使用しているため、誰が作ったのかわかりません。このゲームは純粋なファン活動であり営利的な要素は一切ありませんが、もし著作権を所有する方々に不利益があると判断された場合はご一報ください。 (以上公式サイトから引用) 著作権は 本ゲーム制作者 ムニエル様 クライヴ様 qra様 荒木氏及び集英社に帰属します。 このサイトは ディアボロの大冒険まとめ様 を参考にさせていただいております。 公式サイト(ゲームをダウンロード可能)はこちら ディアボロの大冒険
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ディアボロの大冒険TAまとめへようこそ 当wikiはディアボロの大冒険を用いたTA(タイムアタック)の記録等をまとめたサイトです。 暫定的に編集を開始しましたが、問題があると判断されれば即時編集を停止し、閉鎖する可能性があることをご了承ください。 編集について 現状では管理人のみ編集可能となっております。 追加したい情報等がありましたらコメントの方へ書き込みをお願い致します。 バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、コメントの方へ書き込みをお願い致します。 - - -
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ヴェストリ広場に向かう途中、ルイズに出会ったディアボロ。 「ギーシュと決闘するって本当なのディアボロ!?」 ついさっき起きたギーシュの決闘発言を聞いたようだ 閉鎖した空間ならではの噂の広がりの早さは異常である。 「そうだが?」 「早くギーシュに謝りなさいよ!私からも許してくれるように言ってあげるから!」 ルイズはディアボロを心配そうに見つめてくる。 平民の変態でも自分の使い魔は心配なのだろう。 「それはできんな」 厨房の奴等に恩を売る機会なので拒否するディアボロ 「!?ギーシュはメイジなのよ!……平民のあんたならわかってるでしょ!? 平民はメイジに絶対に勝てないの。怪我して死んじゃうかもしれないのよ!?」 「自分の使い魔を信じるぐらいしたらどうだ?」 ルイズはこの現実を見てない使い魔にムッとした。 ディアボロがどんな妄想をしてるのか分からないが、貴族>平民の方程式を崩す事は出来ない。 それがルイズの中の常識だ。 「私の使い魔が怪我するのを黙って見てるわけにはいかないじゃない!」 「…………」 ディアボロは歩き出した。諦めないルイズがその後を追って行く。 「ちょっと!待ちなさいよディアボロ!」 普段人気のないヴェストリ広場は、話しを聞いた生徒達で溢れ返っていた。 「決闘だ!」 ギーシュが薔薇の造花を気障ったらしく掲げる。 その姿に周囲から歓声が上がる。 しかしそんな中、ルイズは不安げに黙りこくっていた。 その視線の先に居るディアボロは何時もの姿勢でギーシュを見詰めている。 (あのバカ……平民が貴族に勝てる訳ないって散々言ったのに) 「ふふふ、逃げずに来た事は褒めてあげるよ」 「逃げる必要が私には無いからな」 その言葉を聞いたギーシュのコメカミがヒクヒクと震える。 「平民の変態が貴族を馬鹿にしたらッ!どうなるか思い知らさせてやるよッ!」 ギーシュが薔薇の造花を振ると、花びらが一枚離れ金属製の女騎士が一体出現する。 「ゴーレム…『ワルキューレ』僕が青銅のギーシュと呼ばれている所以だッ! 僕はメイジ、だから魔法で戦う。文句は無いね?」 平民が自分に勝てる訳が無い……絶対的な勝利を確信して笑みを浮かべるギーシュ。 だが、それに反して 「それが『土』の魔法か」 あくまで自然体のディアボロ、何処と無く感心しているようにも見える。 それを見るギーシュのコメカミの血管がプッツンと切れ、次の瞬間。 「行けッ!ワルキューレ!」 ワルキューレが猛然と走って行く。 全身これ凶器なゴーレムが至近距離にまで接近してもディアボロは動かない。 だが、妙な事をディアボロがやっているのにギーシュは気付いた (あれは……素振り?) 拳を目の前に振っているディアボロ。 平民の変態がパニックになったと解釈して、取り敢えずワルキューレに死なない程度にぶん殴らせる命令を出す。 (殺されるつもりなのディアボロ!?) それを見ていたルイズが心の中で叫んだ。 そして、当のディアボロだが。 (C・F・Hが出ない?体力は全快なのに何故だ?) 体からもう一本の腕と炎の塊が飛び出してこないことに微妙に焦るディアボロ。 だが、数瞬でその原因を思い出す。 (そう言えばマルトーにDISCを渡したままだったな・・・・・・まあ良いだろう) ディアボロは、コック長に攻撃用DISCを外して預けたままなのであった。 ついでに、あのコック長は大の貴族嫌いだった事も思い出す。 (エニグマの紙から他のDISCを取り出して装備するのも駄目だな) 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い精神で、あのコック長は魔法も大嫌いだろうとディアボロは推測。 ここは平民らしく戦って、ギーシュに勝てば更なる好印象でウハウハだろうと思い。 紙から別のDISCを装備して戦う方とは別に、そのまま素手で戦う方を選択。 目の前に迫ったワルキューレに向かってディアボロは拳を構えた。 ボゴォ! ワルキューレの顔面にディアボロの拳が直撃! 『ディアボロはワルキューレに3のダメージ!』 何処からかの声がディアボロにだけ聞こえた 割と盛大な音を立ててるが、顔面が少し凹んだだけでワルキューレはまだまだ行動できる。 己の優勢は変わらないとばかりに、ギーシュは笑った ゴスッ! 『ワルキューレはディアボロに1のダメージ!』 お返しとばかりに、ディアボロの顔面に青銅の拳が突き刺ささった! (ディアボロ!?) それを見ていたルイズは悲鳴を上げかけた ギーシュが死なない程度にやらせているとは言え、常人なら数日は寝込む程の威力だ。 だが―――――― ボゴォ! 『ディアボロはワルキューレに2のダメージ! ワルキューレの拳をくらいながらディアボロは反撃した。 彼の拳は再度青銅のゴーレムの顔面に直撃する! ワルキューレも黙ってくらっているわけではない。 ゴスッ!『ディアボロはry ボゴォ!『ワルキューレはry ゴスッ!『ディアボロはry ボゴォ!『ワルキューレはry 面白くない顔をするギーシュ、心配そうなルイズ、歓声を上げながら見る生徒達に見守られながら殴り合いを続ける事、十数秒。 その殴り合いの最中、ワルキューレの拳が何回かディアボロの周囲に纏った砂に逸らされた、が。 一瞬の事、故に観衆は気付いていなかった。 ドサッ 先に地面に倒れたのはワルキューレだった。 原型を留めないぐらい頭部を拳で圧搾され、遂には粉砕された青銅の女騎士が豪快な音を立てる。 その瞬間、ディアボロにだけ聞こえる音と声がした。 『ワルキューレをやっつけた60の経験値を手に入れた』 続いてファンファーレの音が聞こえ――― 『ディアボロはレベル4に上がった!』 (ジャッジメントを思い出す、が……あのブ男土人形より力は無いが硬いな) 息も切らせず、冷静に思考しながらギーシュを見やる。 そんなディアボロも無傷ではない、そこら中に青銅の騎士の拳による痣が出来ている。 だが、彼は平気だった。 ディアボロは全身の9割9分9厘を棺桶の中に突っ込んでいても普通に動けるのである。 こんなのは傷の内に入らない。 一方、素手でワルキューレを倒されたギーシュだが。 余裕の表情は崩さないままディアボロに向かって叫ぶ。 「平民にしては中々タフなようだね……だけど!」 ギーシュは再び薔薇を振った。 六枚の花びらが舞い、さっきと同じようにワルキューレが現れた……六体も しかも、さっきは素手だったのに対し、今の六体のゴーレムは剣や槍や斧など様々な武器を持っている。 底意地の悪い笑みを浮かべながら、ディアボロに告げるギーシュ。 「この六体のワルキューレと戦うかな?それとも降参する気になったのかな? 土下座して!『貴族様に逆らった私が間違っていました!』と言えば許してあげるよ!」 そのギーシュの言葉に対し。 「…………」 ディアボロは無言で手招きするのみ。 そのまま六体のワルキューレがディアボロに突進しかける寸前――― ピンク色の髪をした女の子―――ルイズが間に割って入った。 「ディアボロ止めなさい!それ以上やったら本当に死んじゃうから!」 体中痣だらけのディアボロを割りと本気で心配している、が。 「退け」 ルイズの懇願を邪険に押しのけて、前に出るディアボロ そんな彼に、ギーシュは微笑みを浮かべながら説得に入る。 「ルイズの言う通りだ平民君 貴族には勝てないのが常識だよ。土下座しても恥ずかしくは無いさ」 ギーシュの言葉に体を震わせるディアボロ。 それを見たギーシュはもう一押しと判断。 「平民にしては貴族相手に良くやったよ。それを誇りに思えば良いさ」 更に体の震えが大きくなるディアボロ。そろそろ限界かな、とギーシュが思った瞬間。 「ップ……ハハハハハハハ!!!!!!」 突然、ディアボロが笑い出した。 「気、気でも狂ったのか!?」 ギーシュの困惑した声に、笑った時に出た目蓋の涙を拭いながら応えるディアボロ 「いや……何。お前があまりにも滑稽すぎてな……… 人形が私に敵わないとなれば、言葉による懐柔に出て… それも通じないと知れば、日頃からバカにしている『ゼロ』を頼るしかない。 さすがは、二股を掛ける事と、メイドを苛める事しか出来ないタンカスだな……ククク」 プッツーン あまりの嘲りにギーシュの血管が切れた。 そのまま無表情に薔薇を振ると。花びらが、一本の剣に変わって地面に突き刺さる。 「分かるかな?それは剣だ。平民達が貴族に一矢報いようと磨いた牙さ。 その剣を取りたまえ、君に名誉ある死を与えてあげるよ……」 地面に突き刺さった剣を引き抜くと(デザートの並んだトレイは食堂に置いてきたのでディアボロのアイテム欄には余裕があった!) ディアボロは剣とギーシュを交互に見詰めて、大袈裟に肩を竦める。 「なるほど!?平民に負けたのではなく、剣に負けたと言い訳するのか……立派な貴族様だ」 その言葉でギーシュは怒りの限界を突破した。 「ワルキューーレェェェェ!!!!!」 六体のゴーレムがディアボロに牙を剥く。 自分の勝利を確信するギーシュと、ギーシュの勝利を確信する観衆。 ルイズはディアボロを止める事が出来なかった事を悔やんでいたが。 ワルキューレの剣がディアボロの体を裂いた。続いたディアボロの剣がそのワルキューレの首を断つ。 ワルキューレの槍がディアボロの体に刺さった。続いたディアボロの剣がそのワルキューレの肩から腹を袈裟懸けに両断する。 ワルキューレの斧がディアボロの体へめり込んだ。続いたディアボロの剣がそのワルキューレの兜事、頭を粉砕する。 ワルキューレの―――ディアボロの――― 全身に傷を負いながらもディアボロは一体一体殲滅を続ける。 そして、六体のワルキューレが全滅!それは、10秒にも満たない短い出来事。 「な、な、な、な、なぁ!?」 「私の勝ちだな?」 唖然とするギーシュの前に立ってそう告げるディアボロ。 体中傷だらけだと言うのに、その声は負傷など感じていないかのように平静だ。 そんなディアボロを見たギーシュは (殺される!?) 失禁寸前のまま、尻餅を突いた体勢のまま後退りを始めようとしたが。 「造花から人形に剣か……面白い物を見せてくれたな、礼を言うぞギーシュ」 ディアボロの言葉に再び唖然とした。 「へ?」 予想外過ぎて、間が抜けた声を出すギーシュ。 「ぼ、ぼ、僕をこ、殺さないの?」 「必要が無い」 ディアボロはそう言うとそのまま、ギーシュに背を向けると歩き去って行く。 慌てて、その背中に叫ぶギーシュ。 「杖はまだ無事だ!僕が魔法を使ったらどうするんだ!?」 「その時は又遊んでやる・・・・・・その時までには新しい芸を身に付けて来い」 振り向かずに喋るディアボロ。何処と無く面白げだ 『遊んでやる』その言葉に、最初からディアボロの眼中に入っていなかった事を知ったギーシュ。 肩を落として呆然と呟く。 「負けた…僕が負けた……」 それを見たギーシュがうな垂れ 凍りついたようになっていたギャラリーが一斉に歓声を上げた。 キュルケもギャラリーの中ですっかり興奮しており。 無関心だったタバサも、ディアボロがワルキューレを殴り倒した辺りから注意深く見ていた、 そして、ディアボロは先程の行為を戦闘だとは感じていなかった。 厨房の連中に恩を売って、ついでにメイジをおちょくって、戦闘で使う魔法も見れたら良いな~ ぐらいにしか考えていない。 (造花から人形を出した事にも感心したが、剣も出せるとは面白いな あれでドットメイジなのだから、ラインやトライアングルやスクウェアはどれぐらいなのだろう……面白い。本当に面白い) そこで自分の手のルーンを見るディアボロ (剣を持った時、光って体が軽くなった感じがしたな……一体何なんだ?) つらつらとそんな事を考えていたディアボロだが、ルイズが駆け寄ってきた。 「なんだ?」 「この……馬鹿バカばかバカ馬鹿バカバカ馬鹿!」 寄ってくるなり、いきなりディアボロを罵ってくるルイズ。 「何でご主人様の命令を無視するのよ!?ちょっと間違ったら死んでたわよ!?」 「自分の使い魔を信じてみるものだろ?」 「質問に質問で返したら0点って教わらなかったの!?もう!医務室に行くわよ!」 「必要無い」 「何言ってんのよ!傷だらけじゃ……!?」 そこまで言ってルイズは気付いた。 ディアボロの体には傷が一つも付いてない事を。 目をゴシゴシと擦っても変わらない、服に血が付いているだけで無傷だ 「必要無いだろう?」 手を広げてルイズに無傷をアピールするディアボロだが。 ルイズは納得いかない。いくはずがない。 「あ、あ、あんたギーシュのゴーレムから刺されたり切られたりしてたわよね!?」 「それは目の錯覚だ」 そのままルイズを置いて食堂に向かって行くディアボロ 自分は何を召喚したのか――――ルイズは今更ながら疑問に思った。 戦績 ワルキューレ×7体撃破。420の経験値ゲット 『ディアボロはレベル7に上がった!』 <<前話 目次 次話>>
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それから数日。 あの武器屋での口論はキュルケがデラックスな剣を買って、ディアボロにプレゼントした事で一応の決着をみせた そして、帰ってからデルフリンガーと話をしてみたディアボロだが。 問題のデルフリンガーは長年の間に色々な事を忘れているらしく、特に重要な事は聞けなかった。 (役に立たんな……本当にボーイⅡマンのDISCを持ってくるべきだった) 等とディアボロが思ったかどうかは定かではない そのまま、特に何事も無く、時間の流れに身を任せていた、が。 「暇だ……」 最初は見るもの聞くもの新しかったディアボロだが 数日も経つと、特に何も変わらない日常に飽きてきて、あのホテルから続くダンジョンを懐かしく思っていた。 まあ、帰る方法は存在しているが、これから先の何が起こるか分からない事に期待しているディアボロは中々『帰還』の選択肢を選べない。 そんなわけで最近の彼は「暇だ」が口癖となっていた。 「…何か言った?」 耳聡く聞いたルイズがディアボロに尋ねたりしていたが 「で、ディアボロはどっちの剣を使うのかしら?」 翌日、日常の一部と化した程に、ルイズとキュルケが揉めていた。 その内容はルイズとキュルケの買った剣のどっちをディアボロ使うかというものだ。 武器としての剣は如何でも良いディアボロだが、二人の意地の張り合いは止まらなく、乱闘にまで発展しそうであった。 なんだかんだで決着が付かないルイズとキュルケ。 あまりにも暇なのでディアボロは、つい助け船を出してしまった。 「決闘でもしたらどうだ?」 「「それよ!」」 決闘の手段を話し合う二人を面白げにみつめるディアボロ 決闘内容が「ディアボロを吊るしてそのロープを魔法で切った方が勝ち」、と。 最終的に決まった時も面白げな顔を崩そうとしなかった。 そして、夜になりルイズとキュルケとタバサとディアボロの四人が中庭に集まり決闘を始めようとする。 ディアボロが落下した時にレビテーションを使うため、上空をタバサが乗ったシルフィードが飛んでいた。 この勝負は爆発を起こすしか能の無いルイズには圧倒的不利な状況、だが。 ロープで吊るされる前に、ディアボロは何事かをルイズに耳打ちした 「……………」 「え!?あんた正気!?」 「可笑しくは無い、要は考え方一つだ……どんな下っ端のカス能力でさえも、 考え方を変えて使う事が出来れば、王者を殺す武器にもなる」 「下っ端のカス能力言うな!」 「爆発を起こす事しか出来ないなら、それを最大限に有効活用しろ……分かったな?」 「ちょ、ちょっとディアボロ!」 それ以上何も言わずに無言でロープに吊るされるディアボロ 遥か上空に吊るされた男と、その下で杖を構えるアホ二名。 キュルケは開始前から自分の勝ちを確信していた。 自分の得意な『ファイヤーボール』は百発百中を誇る。 先手をルイズに選ばせて、2回もロープを切るチャンスを与えたのもその自信からであった。 (どうせ、ルイズが出来ることは爆発の衝撃でロープを切るぐらいでしょうね) ルイズが杖を構え魔法を使って―――― ドッグォ――z__ン ディアボロの後ろの壁が見事に爆発!ヒビが入った。 「ちゃんと狙え」 「う、う、煩いわね!心の準備ってものがあるでしょうよ!」 「危ないじゃないルイズ『ゼロ』なんだからもっと良く狙わないと」 「うるさい!」 そして、又ルイズが杖を振ろうとするのを見て、キュルケの顔に勝利の確信が浮かぶ。 だが―――――― ドッグォーz_ン 2度目の爆発は吊られているディアボロに直撃した! 「何してんのルイズ!?」 驚いたキュルケの声に反応する事無く、ルイズは上に向かって叫ぶ。 「タバサ!レビテーションお願い!」 上でシルフィードと共に待機していたタバサは、煙と共に落ちてくる物体にレビテーションをかけて、地面への激突を防ぐ。 「ルイズの勝ち」 タバサの宣告通り、その落ちて来た物体はディアボロ―――つまり、先にロープを切ったのはルイズだ。 ルイズは勝ち誇ろうとする前に、地面にゆっくりと降りてきたディアボロに走って行く。 「大丈夫なのディアボロ!」 「私の言う通りにすれば勝てただろう?」 爆発の直撃をくらった割には軽傷だが、決して無傷ではないディアボロ。 ――――――ディアボロがルイズに耳打ちした言葉とは「私ごと爆発させてロープを切れ」と言う無茶苦茶なものだった。 心配無いとの発言も聞いたが、まだルイズの心臓はバクバクと揺れ動いている。 敗者のキュルケはというと、地面に座り込んでハンカチをギリギリと噛み締めている。惨めだ そして―――いきなり地面が揺れた。 「「な、なに!?」」 「…………」 「ふん?」 そして四人は見た。 「ゴ、ゴーレム!?なんて大きさなの!」 30メイル程もあり、ギーシュのワルキューレを軽く超越した大きさだ。 慌てたルイズとキュルケがゴーレムの移動線上から逃れる。異常な逃げ足の速さである。 だが、一人だけ動かない者が居た。 「……これは『土』のトライアングルかスクウェアメイジなのか?」 取り敢えず何かするようなので、ゴーレムが何をするのかその場で見守る事にしたディアボロ。 平穏な生活を何日も続けていたせいか、かなり危機感が欠如している。 その場を動かないディアボロにルイズが叫ぶ。 「ディアボロ逃げて!」 しかし、ゴーレムに興味津々なディアボロには届いていない。 (爆発で足を怪我したの!?) そんな事は無い、が。ルイズは誤解している 我慢できなくなったのか、自分の危険を省みずルイズは走った。 「早く逃げなさいって言ってるでしょバカ!」 「私に構うな」 煩げにディアボロが手を振るがルイズは離れない。 そんな事をやっている間にゴーレムが近付き、二人の頭上に巨大な足を上げる。 「チッ……しょうがない」 自分一人だけなら何とかなるが――――傍にルイズが居る。 逃げるディアボロとルイズの後ろ、一瞬の差で踏み下されたゴーレムの足が破滅的な音を立てる。 そのまま逃げ続けるルイズとディアボロの後ろで、ゴーレムがヒビの入った壁を破壊し中に誰かが進入した。 しばらくしてから、その誰かは肩に乗り、ゴーレムを指揮してまた何処かへ戻って行く。 「ハァハァハァハァ……あの大きさだと……乗っているのは………トライアングルクラス以上のメイジね」 「トライアングルクラス以上はあんな事が出来るのか………凄いな」 そんな事を話している時、ディアボロはルイズがわざわざ、する必要の無い危険を侵した事を思い出した。 「構うなと言ったはずだが?」 「私の使い魔なんだから構うのは当然でしょ!」 「ふん?」 当たり前のように言い放つルイズを面白そうに見るディアボロ。 「あ、後!ご主人様かルイズ様って呼びなさいって言ってるでしょ!?そうしないとご飯抜きなんだからねっ!」 繁々とディアボロから見詰められて、顔を真っ赤にしながらもルイズは誤魔化すように叫んだ <<前話 目次 次話>>
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次の日 今日は虚無の曜日で授業は一切無かった。 生徒達は思い思いに街に出かけるなり、学園でのんびり過ごすなりして、大切な休日を楽しんでいる。 ギーシュはあまりのショックに部屋の中で寝込みつづけている そして、ルイズは部屋で出かける準備をしていた。 何故ルイズが外に出かけるのかと言うと 「ディアボロ、あんたに剣買ってあげるわよ」 その一言が始まりだった。 ギーシュとの決闘を見ていたルイズ。 素手でゴーレムを倒したのには驚いたが、剣で一刀の元に切り裂いたのも驚いたのだ。 使い魔はご主人様を守るのが仕事。だから剣を買ってやろう……そうルイズは思った。 で、肝心のディアボロだが。 「いらん」 そう短く答えるのみ。 しかし、ルイズが「はいそうですか」などと言う筈も無い。 「ご主人様の言う事は聞きなさい!街に出かけるわよ!」 と言って、強引に連れ出した。 ディアボロ自身もこの世界の街に興味があったので、それ以上断る事も無かったが。 この学園の地形や地理はハミパDISCで確認してバッチリ頭に入っている。 今のディアボロに問題があるとするならば、激しい食い溜めをしたとは言え、往復で6時間の道のりに耐えられるかどうかだけだった。 ルイズとディアボロがトリステイン城下町に向かって行って数分後―――― それを見ていたキュルケはとある生徒の部屋に飛び込んだ。 その部屋の主人――タバサの読んでいた本を強引に取り上げ焦った顔で叫ぶ。 「タバサ!レッツゴーよ!タバサ!」 まずはちゃんとした言葉で喋れと思うタバサ。 「何?」 取り敢えず話しだけは聞いてやろうとする少女。良い子だ。。 辛抱強く、要領の得ないキュルケの説明を聞いてやったタバサ。 『ディアボロとルイズが街に出かけた。』 『ギーシュとの決闘を見物していたキュルケはディアボロの事が気になっている』 『何処に行って何するのか知りたい』 『だけど、今からではタバサの風竜じゃないと追い着けない』 要約すると、以上のような事をキュルケは喋った。 「虚無の曜日」 興味も無いし、折角の読書を邪魔されたので、拒否しようとするタバサ そのままキュルケが取り上げた本を取り返そうとするが。 「それは私も分かってるわ!でもね?今はそんなこと言ってられないの!恋なのよ!恋!」 身を翻してタバサの手を回避しながら喋り続けるキュルケ。 キュルケの二つ名を思い出して溜息を突くタバサ。 このまま不毛な事を続けるよりは、追い駆ける方が良いだろうと判断して。 渋々頷く。 「ありがとう! じゃ、レッツゴーよタバサ!」 タバサにとっては正直迷惑と言うレベルじゃねーぞ!。って感じだが キュルケは親友の自分にしかできない事で頼ってくれるなら悪い気もしない。 そして数秒、寮から広い背中にタバサとキュルケを乗せたドラゴンが飛び出して行った。 一方その頃、ルイズとディアボロの二人はトリステイン城下町に到着していた その中、ブルドンネ街通りを歩いている。 「狭いな」 ディアボロは5mしか幅の無い道を見て正直な感想を述べた。 「狭い?これでも大通りなんだけど…………なんでそんな風に歩くの?」 ディアボロは人にぶつかろうが、物にぶつかろうが、関係無く最短の距離を歩いている。 「歩く人の迷惑じゃない」 「……私の趣味。と言う事にしておけ…」 どんな言い訳なのだろうか、ルイズの頭に疑問符が浮かぶ。 実際は腹減りを抑えるための行動だったのだが。 (クソ……億安のDISCとプリンがあれば良かったが) 「何言ってんの?まあ、いいわ。迷子にならないようにちゃんと付いて来なさいよ?」 通りは活気に満ちていた。 鬱病持ちの人間には耐えられないと思われる程である。 モンスターハウスを思い出して嫌な気分になるディアボロ 彼は全体攻撃DISCを使おうか真剣に考え始めていた。 危険人物と化しているディアボロの前でルイズが振り向きもせずに喋り出す。 「ディアボロ?財布は大丈夫でしょうね?スリには気をつけてよ…魔法を使われたら危ないんだから」 「貴族の中にスリをする奴が居るのか?」 「しっつれいね!メイジの全てが貴族ってわけじゃないのよ!?」 マイノリティーを貴族全般と同列に扱われて怒ったルイズはディアボロに話し始めた。 「……………それで、色々な事情があって貴族から放逐されたメイジが傭兵や犯罪者になるのよ!分かった!?」 喧騒に負けない程のルイズの叫びに、分かった分かったと頷くディアボロ。 「安心しろ、絶対にスリは私から物を盗る事はできん」 自信たっぷりに胸を張るディアボロ。 (大層な自信ね……本当に分かったのかしら?) そして、ルイズに連れられて裏路地に入っていく。 ゴミや汚物が道端に転がっていてかなり汚い。 自分が初めてレクイエムによって死んだ場所を思い出して、ちょっと嫌な気分になるディアボロ。 四辻に出ると、ルイズはきょろきょろと辺りを見回した。 「えっと…秘薬屋の近くにあるはずなんだけど……」 「あれじゃないのか?」 ディアボロが一枚の看板を指差す。 ハミパDISCで周辺の地図が頭に入っている彼にはすぐ分かった。 ルイズとディアボロは扉を開き、店内へ入った。 薄暗い店だった。壁や棚にところ狭しと武具が並べられ、店内を歩き回るのには一苦労する。 奥から出てきた主人は値踏みするようにディアボロとルイズを見た。 「剣を買いに来たんだけど?」 ルイズの言葉と、付けている紐タイ留めの五芒星で貴族の客と理解した親父。 急に愛想が良くなって、両手を揉み始める。 「へへぇ。こりゃ失礼しました、はい。貴族様方が剣を使うとは思ってもいなかったもので」 「使うのは使い魔よ」 「ほぅ、なるほど!こりゃ忘れていました!最近は従者に剣を持たせるのが流行っていましたな!」 変態を見る目付きでディアボロを見る親父。 「こちらの変態の方ですか。お使いになられるのは」 口にまで出している 「そうよ。適当に持って来て頂戴」 しばらく店の奥に引っ込む親父。 幾らか経った後、立派な剣を持ってきた。 「店一番の業物でさぁ!」 確かに見事な剣である。宝石がちりばめられ、刀身の光といい、柄拵えといい、一見しただけではかなり立派な剣だった。 「おいくら?」 「へへぇ、これはかの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿の傑作でしですね。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断なんでさあ。」 「私は値段を聞いてるんだけど?」 「ははぁ、これは失礼いたしました!」 芝居じみた動きをしながら親父は値段を述べた 「本来なら値段が付かない程の物ですが……そうですな、エキュー金貨で二千。新金貨なら三千ってところでさ」 「ちょっと高すぎるんじゃないの?それ程の物がこの店にあるとは思えないんだけど」 ごちゃごちゃと二人が話している間。 ディアボロはその剣を手に取って呟いた。 マルトーに攻撃用DISCを預けたままなのでディアボロのアイテム欄には余裕がある。 「……これはエキュー金貨で千枚程なはずだが」 ディアボロはそれが店の中ならば、始めて見たアイテムでも値段を見分ける事が出来るのである。 値段をズバリ言い当てられた親父は焦った。 「お、お、お客さん。ウチの品物にケチをつけるのは止めてくださいや」 「出る所に出ても私は良いんだが?」 「う!……あっ!ちょっとその剣には先約が付いていたのを思い出しやした!別の剣に取り替えます!」 そのまま剣を引っつかむと店の奥に逃げるように走って行く親父。 その親父を憎憎しげに見つめるルイズだが、すぐ顔をディアボロに向けた。 「あんた剣の値段なんか分かるの?」 「ただの勘だ」 「そんなんでよくあんな風に言い切れたわね…」 「お前はあの剣を買う金があったのか?」 「そんな大金持ってるわけないでしょ!?」 「どっちにしても、あの店主を殺れば幾らでも手に入るから問題は無いがな」 「ちょっと!危ない事言わないでちょうだい!」 そんな事をダラダラと喋りながら、陳列してある武器を一つ一つ見ていくルイズとディアボロ。 まあ、ルイズは剣の切れ味など分からないので、ディアボロに付いて何となく眺めているだけだが。 「おい、そこの変態!」 突然男のダミ声が響いた。 ルイズとディアボロが振り返るが、誰もいない。 剣が乱暴に積み上げられているだけだ。 「俺だよ!俺!俺俺!」 声は一本の剣から聞こえた。 どういうファンタジーなのだろうか……剣が喋っている。 「あんたなの?」 「その通りよ!見た所剣探してるようだな? さっきの親父との遣り取り見ておでれーたぜ! あの業突く張りを黙らせるなんてすげぇな!そこでだ!俺を買いな!今すぐ!」 いや、何でそうなると。二人は同時に思った。 「この世界では剣が喋るのか?」 「インテリジェンスソードみたいね」 「ふん?」 等、ルイズと会話しながら、その剣を手に持ってみるディアボロ。 剣を適当に触っているとダミ声で剣がまた叫び始めた。 「このルーンは……スゲーぜこの変態!『使い手』だったのか!?」 「『使い手』?」 「買え買え買え買え!!!!俺を買え!」 二人と一振りの会話を聞きつけたのか、店の奥から店主がやってきて怒声を飛ばした。 「デル公! お客様に変な事言うんじゃねぇ!」 「うっはーうっせー!俺はこの変態に売込み中なんだから黙ってろ! さあ、いいからこのデルフリンガー様を買え!損はさせねーからよ!」 「これを買おう」 ディアボロのその声に剣――デルフリンガーが嬉しそうな悲鳴を上げる。 「ちょ、ちょっと。もっと別の剣にしなさいよディアボロ」 ルイズが止めに入った。 「いや、これで良い」 所々に錆びが浮いていてボロっちい剣だが。 ディアボロは喋る事と手のルーンを知っている事に興味が湧いたので買ってみる事にしたのだ。 デルフリンガーの切れ味の良さなどは如何でも良いのである。 「はぁ。しょうがないわねぇ……これいくら?」 「はっはぁ。本来はエキュー金貨100枚ですが、厄介払い込みでその半分で結構でさぁ!」 財布を取り出してカウンターに金貨を置いたルイズ だが、突然、思いもよらぬ方向から横槍が入ってきた。 「彼にそんなのを持たせるなんて……頭がおかしいんじゃないの?」 「ヘッ?」 と、視線をルイズが向けてみれば、入り口にルイズとタバサの姿が見えた。 何故居るのか?疑問に思う前に、取り敢えずルイズは不倶戴天の仇敵に脊髄で答える。 「ディアボロが選んだんだから関係無いわよ!」 「私ならもっと立派な剣を選んであげるのに……センス無いわねぇ」 「どういう事よ!私だってもっとセンスの良い剣ぐらい幾らでも買ってあげれるわよ!」 そのまま乱闘になりかねないぐらいの口論をするルイズとキュルケ 「私は先に戻るぞ」 デルフリンガーを回収してそのまま店の外に出るディアボロ。 「ウヘヘ。よろしく相棒!名前はなんてんだ?」 「ディアボロだ」 「『使い手』に使われるなんて嬉しいぜ!よろしく頼む変態!」 名前を聞くのは如何でも良かったらしい。 (ボーイⅡマンのDISCさえあれば余計な機能を削除できるのだがな) 一巡後の世界では役に立たないので放置してしまったDISCを思い出しながらディアボロは苦笑いした そのまま迫り来る腹減りに脅えながら一人と一振りは学園に帰って行く。 去ってから数十分後、武器屋の中はエライ事になっていた。 <<前話 目次 次話>>
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しばらくして、朝食を終えた生徒達が教室へ移動を始めた。 キレた目をしているルイズもディアボロを連れて教室へ向かった。無言なのが怖い。 教室には、生徒達が召喚した様々な使い魔が居た。 しかし、教室の椅子は貴族の席であり、ディアボロが座る席など存在しない。 仕方なしに、ディアボロは教室の一番後ろに行き、壁を背に立ち続ける。 その後シュルヴルーズという土系統のメイジの教師がやって来て、 生徒達が一年生の時、学んだ魔法の基礎をおさらいさせる。 魔法には四大系統というものがある。 『火』『水』『土』『風』 そして失われた伝説の『虚無』 等の話はディアボロの興味を心地よく刺激しており。 それに、教師が石ころを真鍮に変えた時はさすがに目を剥いた。 (そう言えば…使い魔が選ばれる理由は…) 召喚された直後にU字禿教師が言っていた事を思い出す。 『…現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、専門課程へ進む・・・』 キュルケのサラマンダーはどう見ても『火』以外ありえない……ならばキュルケは『火』の系統なのだろう。 (どおりで嫌な感じがしたわけだ) とすると、あの教師の言う通りならば。 ここに召喚されている生物は、ほぼ全てが四系統の属性に分類されるはず。 (では……私は何系統なのだ?) 火・水・土・風・虚無。ディアボロの持ち物はほぼ全ての系統に当て嵌まっていて。どれか一つに分類する事が出来ない。 「ふむ」 ディアボロが考え込んでいる最中、教室が突然騒がしくなった。 その原因は、ルイズが前に出て錬金をやる事になったからである。 (……あれが何系統なのか判断できれば、私の系統も逆説的に分かるはずだ) ディアボロのちょっとした興味。 何系統として呼ばれたのか。ほんのちょっとした好奇心 だが、ルイズの一挙一動を見守るディアボロは、生徒達や使い魔達が机の下に入ったり、教室から飛び出たのを見えていなかった。 ルイズは石に向かって杖を振り―――― ドッゴオォン! 爆発が起きた。 反応が遅れたディアボロは、その爆発をまともに……くらわなかった。 起きた爆風は、ディアボロの体に到達する前に和らぎ。 散弾銃のような小石は体に接触する寸前、燃え尽きた。 ほんの掠り傷程度ですんだディアボロだが。 彼は呆然としていた。 「な、んだと?」 爆心地はルイズ。 それを見た彼は、記憶の中のトラウマの一つが浮かんできた 『何かのアイテムが爆弾になったかも…う~むどうだったかな……?自信がない…』 この後、ディアボロはルイズの二つ名を脳裏に刻み込む事となった。 ドット!ライン!トライアングル!スクウェア!そのランクの中で、 一番下のドットにすら及ばない、魔法は使えるが何時も爆発を起こすメイジ。 成功率ゼロ!だから『ゼロ』のルイズと呼ばれている事。 そして――メイジの実力は召喚される使い魔にも反映されるらしい事。 それを聞いたディアボロは、何故ルイズに召喚されたのか納得した (私も最初は無能だったからな) ディアボロは、奇妙なダンジョンに初めて潜った時の事を思い出した。 無装備状態で手探りしながら迷宮を進み、罠や敵の手、それに自分のちょっとしたミスで何回も何回も死んだ記憶。 …………それでも、遅々とした足取りの中で実力を着け、ダンジョンを制覇した誇らしい記憶。 (これからの成長に期待と言う事か) 授業終了後、ディアボロがキュルケからそのルイズの話を聞いていると、 噂をすれば影とばかりに、その本人が不機嫌ですと顔に書いてやってきた。 「ちょっと!私はキュルケに近付いちゃ駄目って言ったわよね!?」 「硬い事言わないでよルイズ、私はアンタの二つ名を懇切丁寧に説明して上げてただけだから」 「よ、余計な事しないで!こいつは私の使い魔!あんたは関係無いでしょ!」 自分の不名誉な二つ名が知られた事を知って、顔が赤くなるルイズ。 面白そうな顔でそれを見つめていたキュルケだが。 さすがに、飽きたのか颯爽とその場を離れて行った 「じゃあね、食事に遅れるから私はそろそろ行くわ」 そして残されたルイズは、いきなりディアボロの足に蹴りを入れた しかし、その一瞬、ディアボロの周囲に砂が集まって、ルイズの蹴りを明後日の方向に受け流した。 ズダン。 滑ったルイズは華麗に転倒した。 「…何をする?」 「うるさいッ!」 不思議そうに尋ねるディアボロに罵声を返すだけのルイズ。 頭に血が昇ったルイズは、さっきの砂が集まった異常な事には気付いていない。 何も無いところで滑って転んだと言う無様な記憶だけである。 そのまま、体の埃を払うと教室を出るルイズとディアボロ。 食堂への途中、ルイズはディアボロの表情の変化に気付いた。 含み笑いをしている。それがルイズの勘に更に障った。 「なに笑ってんのよ!」 「何も笑ってはいないが?」 「笑ってた!」 「ふん?……まあ、いい。話は変わるが… お前は昨日メイジの誇りを熱心に語ってくれていたな…… それでだが、自分が魔法を使えないのはどう思っているんだ?」 言葉に詰まるルイズ。 「魔法が使えない無能の癖に、お前が言う平民で変態の私から貴族として尊敬されると思っているのか?」 「私だって…私だって努力はしてるわよ!ディアボロ!あんた、ご飯抜きだからね!覚悟しときなさいよ!」 涙が滲む目を向けながらも、捨てゼリフを残すとそのまま目の前の食堂のドアに飛び込んで行った。 「さっきの言葉は流石に厳しかったか?」 ディアボロなりに発破をかけたつもりだが、ルイズは想像以上に痩せ我慢をしていたようだ。 そしてディアボロは、食堂に入らなくては昼食を食べられないという事に溜め息をついた。 このままだと餓死する。さりとて、DISCの無駄な消費は避けたいとディアボロが悩んでいる時。 「あの……どうかなさいました?」 声がかけられた。 振り向くと、そこには夜空に輝く無数の星と同じ数ある男のロマンの一つメイドさんの姿をした少女。 「何でもないが……」 「もしかして、貴方はミス・ヴァリエールの使い魔になったって噂の平民の変態の……」 平民の変態発言を軽くスルーするディアボロ。指摘してもどうにもならないって事もあるが。 「お前もメイジなのか?」 「いえいえ、私は違います。普通の平民です。 貴族の方々をお世話するために、ここでご奉仕させていただいてるんです」 普通のと言う所を強調して発言するメイド。 そこまでして、ディアボロと同じだと思われたくないのだろうか。 「…………」 「私はシエスタっていいます。貴方は?」 「ディアボロだ」 「そうですか…それで、ディアボロさん。 こんな所でどうしたんです? 本当に何もお困りでないんですか?」 シエスタの目を見るディアボロ 腹に一物を隠し持ってはいないようだ。純粋な親切心から彼に声をかけたのだろう。 (これは、昼食の代わりを用意してもらえるか?) 「昼食を抜かれてしまってな」 「まあ!それはお辛いでしょう、こちらにいらしてください」 ディアボロがこっちに来て初めて出会った貴族以外の人間。 シエスタの対応を見て、何となく利用できそうだと外道チックな事を考え始めていた。 <<前話 目次 次話>>
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ディアボロがシエスタに案内されたのは、食堂の裏にある厨房だった。 コックやメイド達が忙しそうに働く様はディアボロがレクイエムをくらう前に居た世界とあまり変わりはない。 コック長のマルトーに会うと、ディアボロとシエスタは事の次第を説明した。 厨房の隅で待っているディアボロに、シエスタはシチューを持ってきてくれた。 「貴族の方々にお出しする料理の余り物で作ったシチューですが……」 「ありがとう」 こっちに来て初めてのんびりできたディアボロ。 初めての精神休息。が、彼はあまりそれを必要だと感じ無い そしてシチューを一秒で平らげるディアボロ。 その姿を目を丸くして見ているシエスタとマルトー、あまりの早食いに驚いたようだ。 「美味いな…あのシェフの料理を思い出す」 「ディアボロさんは他の国からいらしたんですか?」 「……遠い所からな、いきなり召喚されただけだ」 「大変ですね……ここはどうですか?いい国ですよね?」 「まだ外に出た事が無いから何とも言えないが……すまない、もう十杯ぐらいお代わりを貰えるか?」 「ええ、いいですよ。でもどうしてご飯抜きにされちゃったんですか?」 「……ちょっと、機嫌が悪かっただけだろうな」 「それは災難ですわね」 「つまり、お前さんはその貴族の機嫌が悪いってだけで、食事を抜かれることになっちまったわけか!?」 「アレが悪いわけでもないが………」 「け! 勝手に人を使い魔にしやがった癖に何が罰だ! 魔法を使えるだけで偉いと思ってんのかあいつ等!」 シエスタとマルトーかなりディアボロに同情したようだった。 特にマルトーは大の貴族嫌いらしく、まだ怒りが覚めやらぬ様子だ。 シエスタとマルトーは可哀想な人を見る目でディアボロを見つめた。 又しても一秒で食べ終えたディアボロは、空になった皿をシエスタに返して二人に礼を言った。 「美味かった……ありがとう」 「それは良かったです。お腹が空いたら又来てください。 賄い食で良かったら、何時でもお出ししますから」 「ふむ…それはありがたい。だが、タダで食事をもらうわけにもいかない。 私に何か出来ることは無いか?」 取り敢えず、良い人っぷりを二人にアピールするために手伝いを願い出すディアボロ。 「良いって良いって!たくさん作るんだから、今更一人くらい増えたって大したこたない!」 そのマルトーの言葉に彼は首を振った。 (こう言う古い人間は、こうすれば好意を抱くはずだ) 計算高いディアボロ、かなりの策士である。 「融通の効かん奴だな。まあ、悪くはない」 マルトーは呆れながらもディアボロに好感を抱いたようだった。 正にディアボロの計算通りである。 「でしたら、デザートを運ぶのを手伝ってくれませんか?」 シエスタが提案する。 それにディアボロは頷きかけたが、重大な事に気付いた。 (アイテムが一杯で持てんな……差し障りの無い物だけここに置いて行くか) どうせ、誰も盗らないだろうと思うが念には念を入れるディアボロ。 「これを預かってもらえないだろうか?私の大切な物なのだ」 気付かれない様、装備している攻撃用に差込んでいたのDISCを一枚抜いて、マルトーに渡した。 「おう任せな!お前さんの物をギろうとする不届き者が居たら、包丁で成敗してやるよ!」 そのセリフにあるシェフから石鹸で撲殺された記憶を思いだしディアボロは苦笑いした そんなこんなで、ディアボロは今。 片手にデザートの並んだ銀のトレイを持ち、食堂に出ていた。 使用人の制服を薦められたが、ディアボロは着なかった、あの格好に何かの拘りがあるらしい。 デザートを貴族達に配るシエスタに付いて回る間、ディアボロは貴族達から視線を向けられていた。 「何であの平民の変態が居るんだ?」 「平民の変態の考える事なんて俺達には分からないよ」 「それも…そうかぁ?」 そして、ディアボロが配っている途中。 金髪で造花の薔薇をシャツに刺した気障ったらしい貴族が居た。 (髪を三連コロネにすれば、あの裏切り者に少し似るな) などと、ぼんやりと考えるディアボロ。 その似非ジョルノは周りの友人達と一緒に、誰と付き合っているか、という他愛も無い話に熱中している。 (子供の関心は、場所が違ってもあまり変わらないようだな) などと、相変わらずぼんやりと考えながらもディアボロはデザートを配る。 シエスタとディアボロがその集団に近づいて行くと、件の似非ジョルノのポケットから何かが転がり出た。 (小瓶か?) 拾おうとしたが、今のディアボロはデザートの並んだトレイを持っているので、アイテムが一杯!それ以上は持てない。 そのまま放置してディアボロはデザートを配り終えようとしたが。 似非ジョルノの周りの友人達が目敏く小瓶に気づいた。 「おやおや!?それはもしや!モンモランシーの作った香水じゃないかギーシュ!?」 「おお!そうだな友人よ!この特徴的な色合いは間違いない!彼女が専用に調合した香水だ!」 「つまり!つまり!ギーシュはモンモンと付き合っているのか!」 「いやいや!違うぞ友人よ!今ギーシュは下級生のケティと付き合っているはずだ!」 「違う違う!!黙れ!静かにしろ喋らないでくれ!」 似非ジョルノ…ギーシュと言う名前らしい。が、慌てて友人達の口を塞ごうとしたその時。 近くの席から茶色のマントをつけた少女が立ち上がり、ギーシュの席にやってきた。 青ざめながら振り向くギーシュ。 「ケ、ケ、ケティ。これ、これは違うんだ」 ケティと呼んだ少女は無表情で、弁解をしようとしたギーシュの頬を思いっきり殴った。 続いて巻き毛の少女がそれに続く、その少女をディアボロは憶えていた。 使い魔がカラフルな蛙だったのが印象に残っていたのだ。 (何時か、あの蛙を食べてみたいものだ……) と、考えているディアボロの視線の先で、消去法でモンモランシーと言う名前だろうその少女が。 「この嘘吐き!とっとと自殺して地獄に落ちてちょうだい!」 極めつけの絶縁宣言をして去っていく。 食堂に沈黙が流れた。 だが、ディアボロは何事もなかったようにデザートを配っている 「どうしてくれるんだ!? 君のせいで二人のレディの名誉に傷がついた!」 いきなりの罵声が聞こえた。 何事かと視線を声のした方に向けるディアボロ 「すみません!すみません!貴族様お許しください!」 「すみませんですんだら、貴族は要らないんだよ!」 何故かギーシュがシエスタに突っ掛かっている。 (どういうことだ?) 分けの判らない行動にディアボロは一瞬唖然としたが。 すぐに気を取り直して。 (面白い事になりそうだな) 取り敢えず、事の推移を見守る事にした。 怒るギーシュと、謝るシエスタ。 「メイドなんだから、気を効かせて拾ってくれても良いだろう!」 「ごめんなさい…貴族様」 何となしに騒動を見ているディアボロは理解した (つまり、強引に責任転嫁していると言う事か) 冷めた目でそれを見守るディアボロ。 自分の言葉で自身の感情をヒートアップさせているのか、どんどん言葉の調子が跳ね上がって行くギーシュ それに対して、シエスタは半泣きを通り越して、マジ泣きに入りそうであった そして、ギーシュが薔薇の造花の杖を出し構えた。 メイジが杖を出す時は魔法を使う時―――ディアボロは授業でそれを知った。 シエスタも知っていたのだろう、そして、これから自分に何をされるかという事も同時に知る事ができた。 その場で蹲り両手で頭を押さえるシエスタ。 この騒ぎに他の生徒達も集まっていたようだ。 しかし、誰もギーシュのアホな行為を止めようとしない、可哀相なシエスタを助けようともしない。 むしろ見世物を笑いながら見物しているような者達が大多数を占めている。 (私には関係無い、が……恩を売っておくのも良いな) 放置しようと一瞬思ったディアボロだが。 暴虐な貴族の手からシエスタを助ければ、厨房の奴等からかなりの好印象を受けるだろうと打算する。 更に、貴族嫌いのマルトーからは英雄扱いされて毎日豪勢な食事ができるはずだと確信している。 ディアボロはその思考をさっそく行動に移した。 シエスタは泣いていた。 少しだけ視線を上げたが、ギーシュが杖を振り上げていたのを見て再度目を閉じる だが、いくら時間が経っても何も起きない。 恐る恐るシエスタが目を開けると―――― 「そこで止めておけ」 「『ゼロ』のルイズが召喚した平民の変態君じゃないか……邪魔しないでくれたまえ!」 シエスタを守る形でギーシュの前に立つディアボロ 「メイドの泣く姿は、平民の変態君には刺激が強すぎのかい?」 嘲笑を浮かべるギーシュ。 それに対してもディアボロは涼しい顔をしている。 「ふん……便器に吐き出されたタンカスが喚くな。見苦しいぞ?」 その言葉に一瞬でプッツンきたギーシュ。 「いいだろう……いいだろう!まずは君に礼儀を教えてあげた方が良い様だッ!」 そのギーシュの言葉にディアボロは。 ギーシュがディアボロに向けた以上の物凄い嘲りの笑みを浮かべる。 「ククク……笑わせるな。タンカス以下のカスが、私にどんな礼儀を教えると言うんだ?」 「グヌヌヌヌ…!『決闘』だッ!ヴェストリ広場で待っている!準備ができたら来たまえ!逃げるなよ!」 そう言い残したギーシュと友人とその他大勢は大股で食堂を出て、広場の方向へ歩いて行った。 「あ、ありがとうございますディアボロさん!」 喜びの表情を浮かべるシエスタ。 だが、瞬時にさっきよりも暗い表情に切り替わる。 「ですが…関係の無い貴方に迷惑をかけられません……私が行って何とかしてきます」 悲壮な決意を浮かべるシエスタの肩に、優しく言い聞かせるように手を置くディアボロ。 これも吊橋効果を狙ったディアボロの計算である 「お前も災難だったな……それに無関係では無いぞ?あのカスはこの私と決闘したがっている。」 「でも!メイジと決闘をしたら死んじゃいますよ!?」 「何とかなる…心配はするな」 そう短く言い残すと、ディアボロは残された料理を平らげて(その間10秒)食堂を出て行った 朝のハミパDISC発動で学園の地図は頭に入っているディアボロ。彼の足に迷いは無かった。 <<前話 目次 次話>>
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「“敵”は排除せねばならない…特にそれが“悪”だったならば…」 「誰を倒すか」 「安価」 ↓■ 59 :名無しさん:2013/08/04(日) 09 52 43 ID wfV9wbvg0キャスター 「どうやって倒そう」 「安価」 ↓■ 61 :名無しさん:2013/08/04(日) 14 51 46 ID wiZ1hAmk0首をはねて体を押さえつけて滅多刺しにして腕と手足を切り落としてリンチ殺人して頭を砕いて体に劇薬をかけてとかしてから海に捨てる。 「首をはねて体を押さえつけて滅多刺しにして腕と手足を切り落としてリンチ殺人して頭を砕いて体に劇薬をかけてとかしてから海に捨てる」 キャスター「安価は絶対」の法則により首をはねられた。 「さて…死、死んでる!」 キャスターだったものは「安価は絶対」の法則により「体に劇薬をかけてとかされ、海に捨てられた」 【キャスター 死亡確認】 【ディアボロ@ジャイロ「最強のスタンド“キング・クリムゾン”を手に入れたぞ」】 【状態】健康、たぶん黄金の精神 【装備】 【道具】基本支給品、不明支給品3つ 【思考】基本:安価
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夜も更けて頭上には、月が二つ輝くだけのヴェストリ広場。 人っ子一人居る筈が無いその場所に一人の男が居た。 その名はギーシュ・ド・グラモン。武勲で知られるグラモン家の四男である。 静かに夜空を見上げる顔からは何の感情も読み取れない。 そのまま瞑想を続けるギーシュの耳に足音が聞こえた 「来たね」 そう言ったギーシュの視線の先、そこにはこちらに歩いてくるディアボロの姿。 「ふん?あの時に言ったはずだがな……逃げる必要が私には無い、と」 ホールに居た時に聞いたギーシュの言葉を思い出すディアボロ。 (『ヴェストリ広場で待って居る』か・・・・・・ククク) ディアボロはそのままスルーしても良かったのだが、何やら面白そうなので行く事にしたのであった。 まずは手始めとばかりにギーシュをおちょくってみる。 「それで?新しい芸でも見せるのか?それとも、馬鹿の一つ覚えのようにつまらない人形劇を繰り返すか?」 嘲りの声を向けられてもギーシュの静かな顔が変わらない。 その目から何かを感じ取ったディアボロ。 「どうやら・・・・・・本気のようだな」 「ああ、これは僕の・・・・・・ギーシュ・ド・グラモンの命を賭けた決闘だ。 遊びだとは絶対に言わせない!」 続いて振られる薔薇の造花とワルキューレの言葉、それに応えるように青銅の女騎士が現れる。 ディアボロを見つめるギーシュに思い返されるは、自室で寝込んでいた時に見ていた夢――― その夢の中にはここではない別の世界から、自分を慰める『自分達』の姿があった。 『殺されずにすんだから良かったじゃないか』『死ぬよりはマシだよ』『ワルキューレを全滅させられただけだから安心しなよ』 優しく、本当に優しく、子供に言い聞かせるように語ってくる『自分達』 それを聞いたギーシュは吐き気がした。 自分を慰める『自分達』の姿にでは無く・・・・・・それを聞いて安心する自分自身に しょうがなかったと、自分に言い訳をして敗北を認める事、それが死ぬよりも辛い事に今更ながら気づいた。 そう思えば後は簡単だった。 善は急げとばかりに、ベッドから跳ね起きて図書室へ赴く そこでギーシュは必要な物を探しながら、グラモン家の家訓である『生命を惜しむな、名を惜しめ』の意味をやっと理解する事が出来たと感じた。 「いけッ!ワルキューレ!!!」 そのままワルキューレをディアボロに突っ込ませる。 ワルキューレは武器を振り被って目前のディアボロに叩きつけようとした。 が、ディアボロに当る一瞬前に、そのワルキューレはデルフリンガーで逆に叩き切られた。 何の抵抗も無く、縦に一刀両断されて鯵の開きのような姿になるワルキューレ。 「面白くなる・・・・・・と思ったが期待外れだったか?」 呆れたように呟くディアボロ。 彼の目には今のギーシュの行為は、ワルキューレを一体無駄にしたとしか思えない。 だが―――― 「油断は良くないよ!」 ギーシュの叫びと同時に、両断されたワルキューレが何の前触れも無しに『破裂』した。 そして四方八方にに撒き散らされる砂、砂、砂の嵐。 至近距離に居たディアボロはその砂をまともにくらってしまい、視界が暗闇に閉ざされた。 それを見るギーシュが新しいワルキューレを生み出す。 こちらに走ってくるワルキューレの足音を聞いても動かない。動けないディアボロ―――目潰しと同時に足元が泥濘になり、次の瞬間石に変わったからだ。 足が動かずに目も見えないディアボロは・・・・・・ワルキューレの攻撃を無防備でうけるしかなかった。 ザクッ!ズグッ!とヴェストリ広場に肉を裂く音が響く。 そのワルキューレの攻撃をくらっても構わずにディアボロは剣を振る、しかし、斬っては離れ、突いては離れる完璧なヒットアンドアウェーを見せるワルキューレ達には当らない、当るはずがない。 数を少なくする事によって連携の精度を上げた部分もあったが、今のワルキューレからは何かの凄みも感じる。 「右だ相棒!って、そこ違う!俺から見て右だよ!」 デルフリンガーの指示も虚しくフルボッコにされるディアボロ。 と言うかぶっちゃけデル公の指示は邪魔にしかならない、混乱するだけである。 誰がどう見てもギーシュの圧倒的優勢。なはずだが。 顔から流れる嫌な汗をギーシュは止める事ができなかった。 目を潰され、足を固められ、インテリジェンスソードの指示も全くの無駄にしかなってない状況。 ピンチのはずだ。 だと言うのに。 ―――――今のディアボロの顔に笑みが浮かんで来ていると言うのは何故なのか? 「……っ、ふ」 ディアボロの口から息が漏れ。 そして、酷く唐突に彼は笑い始めた。 「ふ、ふふふふ。は、ははっははははははははは!!!!!」 傍から見れば、それは確実にディアボロが狂ったとしか思えない。 だが彼は満面の笑みを浮かべ、面白い物を見たかのような笑いを発している。 何も見えない目で、夜空を見上げながら少年のように笑っている。 何かを言いたげなデルフリンガーを鞘に収めると、ギーシュの方を向く。 「はは、はははははははははは!はは、は、は、は!面白い!何とも面白い! 自分の最善を尽くして敵を仕留めようとするとは!かつての裏切り者達を思い出すぞ!」 奇妙なダンジョンの敵とは違い、ディアボロの能力を把握して冷静に対策を立ててくるギーシュ。 自分のスタンドを知って尚、闘志を失わずに策を張り巡らせてきたブチャラティやジョルノがディアボロの脳裏に浮かんでくる。 「侮辱してすまなかったギーシュ!私も遊ぶのは止めにしよう!」 その言葉と同時に――――紙から取り出したDISCを頭にINするディアボロ。 背筋に冷たい物が走るギーシュ。あれはヤバイ何か分からんがとにかくヤバイ。 今までのギーシュなら何も感じずに余裕をかましていただろう だが成長したギーシュに迫り来る脅威を感じられないわけが無かった。 だからと言って今のギーシュはこの決闘から逃げる選択肢を選ばない。 「……ワルキューレ!!」 恐れを叫びで吹き飛ばし命令する最後の強襲、ワルキューレが狙うはディアボロの頭部と心臓。 しかし、そのギーシュの号令も空しく。 人間の動体視力では捉えきれない速度で、ディアボロの体から出て来た『何か』が 周りに居た全てのワルキューレを『消滅』させた。 『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!』 常識を超えた豪速のラッシュの直撃―――欠片すら残さずに塵となるワルキューレ達。 破壊に一瞬遅れて、辺りの大気が震え、雷のような破砕音が響き渡った。 それが意味する事は、攻撃が音の速さを超えていたと言う単純明快な真理 砂で潰された目が直り、石で固められた足を抜け出、鞘に収めたデルフリンガーを引抜いて動きだすディアボロ。 優勢な状態から、一転してピンチになるギーシュ。 だが、彼にはまだ切り札があった。 (そうだ、それで良い!そのままこっちに近付いて来い!) ディアボロが来る前にその『罠』の準備は完了していた。 罠。とは、ディアボロとギーシュの間にある何の変哲も無い地面にある。 緻密な前準備の成果により、踏んだ瞬間に足元から長さ2メイルもある青銅の剣が飛び出すと言う物。 ワルキューレで倒せるならそれで良い。 もしも、倒せなかったとしても罠を踏ませれば良い。 ギーシュは今度こそ勝利を確信した。 しかし―――――― 「罠か!本当に楽しませてくれるなギーシュ!」 図星をズバリ言い当てられたギーシュが顔面を蒼白にさせられる。 ハッタリかと思ったが、ディアボロは罠がある場所だけを横移動で避けてこっちに向かって来ている 考えている事を読まれたとしか思えないギーシュ。 「何故!?何故分かったんだ!?」 大嫌いな努力と頑張りを使って、何の痕跡も残らないように偽装したのである。 それに時間は夜中、どんなに注意深く見ても絶対気付かれないはずであった。 だが、現にディアボロは罠の存在を見破っている。 ほぼ至近距離まで近付かれて魔法を使う暇も無い、万策尽き果てたギーシュ。誰が見ても敗北は必至。 しかし、ギーシュの目の中で燃えている闘志はまだ消えてない。 後ろに跳んで距離を離し、次の策を考えるまでの繋ぎとしてワルキューレを作成する。 そこまで考えたが、その隙が無い。 振り被られるデルフリンガーを見ながらも、ギーシュは諦めずに勝利へ繋がる方程式を考える。 (右、左、背後、どれを選んでも次は回避できない!なら!) 振り下ろされるデルフリンガー それを見ながらギーシュは…… ディアボロに全体重をかけた体当りをしたッ!! 腹に突き刺さるデルフリンガーの味に、口から苦い物を吐きそうになるが、根性で押し留める 「ふん?」 感心したようなディアボロが押された先には、苦心して作ったギーシュの罠! ズブンッ! 地面から突き出される2メイルの長剣がディアボロに突き刺さる! 「僕……の勝……ちだ」 酸素不足と激痛でギーシュの意識が朦朧とする中、自分のやった行為の結果を見届けるべく長剣が突き刺さったディアボロを見る。 確かに長剣が突き刺さっている、だが、次に見た物はギーシュの予想を軽く上回っていた。 「さすがだ……ギーシュ・ド・グラモン」 体を断ち切るような格好で刺さっているのだ、それは致命傷と言うしかないだろう…なのに 自分の体に刺さった長剣を引抜く―――と言うより、長剣に刺さった自分の体を引抜いているディアボロの姿。 「な……に?」 断続的な睡眠と覚醒への葛藤が激しいギーシュには、それを言うのが精一杯だった。 思い出したかのように、胃を通って、喉を通って、口から吐き出される血液。 倒れて、地面の土に口付けをするギーシュ。 「あっ……あっ……」 無理矢理に立ちあがろうとし、力が入らない手足を蛞蝓のように動かす。 だが、ギーシュのそれは地面に頬を擦り付けるだけの無駄な運動にしかならない。 そうこうやっている内に、ディアボロが長剣から脱出した。 こちらはギーシュと違って、血の一滴さえも吐き出さずに平静な顔を崩す事も無い。 ディアボロが生きている、ならば戦わなければ、杖を拾って、魔法を唱え、勝利へ繋がる行為をしなければ そんな事を考えている内に、ディアボロが近付いてくるのが朦朧とするギーシュの視界に映った。 「あ、あ、ああああああああああっ!!!!!」 腹に刺さったデルフリンガーを引抜かれて口から情けない悲鳴が漏れる。 自分はこれからトドメを刺されるだろう、そう何と無しに確信した。 しかし、次にディアボロが取った行動もギーシュの予想を軽く上回っていた 腹部に衝撃、と、同時に何かが詰め込まれるような感覚 それを感じながら、ギーシュは今度こそ完全に気絶した。 目の前に倒れているギーシュを見る一人と一振り。 ギーシュの腹部に傷は無く、服が破れているだけだ。 そして、ディアボロが感嘆したように呟く。 「何が何でも勝とうとする『執念』………見せてもらったぞギーシュ」 「やれやれ…相棒も困ったもんだな」 そう言って、ギーシュから歩き去って行くディアボロ。 夜空に輝く月と星だけがそんな二人の決闘の決着を静かに見詰めていた。
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ディアボロは冷たい床の上でぱちりと目を開いた。 夜が明けるにはまだ早く、窓の外には、二つの月が光り、室内を煌煌と照らしている。 それを尻目に見ながら、無断でルイズの部屋に持ち込んみ床置きしてある大量のピッツァを頬張るディアボロ。 壁に置いてあるデルフリンガーがそんなディアボロの様子に気付き、口を開いた。 「眠れねえのか?相棒」 デルフリンガーは何か勘違いしているようだが、ディアボロはこれ以上眠る必要が無い、。 それに応えるのは面倒なディアボロは無視してピッツァを食べるだけである。 「つれねえ仕打ちだな相棒!俺は寂しい思いはまっぴらごめんだぜ!」 ディアボロのスルーに腹を立てたのか、デルフリンガーがビリビリと震えながら怒鳴り声をあげる。 その声に反応して、ベッドの上のルイズが寝返りを打って毛布を跳ね除けた。だらしの無い貴族様である。 「……しっかしまあ、色気のねえ娘っ子だね」 反応の無いディアボロの相手をするのに飽きたデルフリンガーがネグリジェ姿のルイズを眺める。 ・・・・・・それにはディアボロも同意であった、自分の娘と比べるとルイズの体は明らかに発育不良が目立つ 12ぐらいだと思っていたが、本当の年齢が16だと知った時は大いに驚いた。 (まさか、トリッシュより年上だったとはな……しかし、暇だ……) あの大事件から、とにかく何もする事が無いディアボロは案の定暇になっていた。 まあ……ルイズから洗濯や掃除が命じられているが、ディアボロは軽くスルーしてるのでとにかく問題は無い 幸せそうに眠るルイズを横目で見ながら、何か面白い事でもないか、と適当に考える。 そこに、ディアボロに向き直ったデルフリンガーが声をかけた。 「そういやぁ。相棒ー、そのDISCってのは一体何なんだ?」 相変わらず、ディアボロは持っているDISCの事をルイズや他の奴等には説明してなかった。 手の内を曝け出したくないからであるが、まあ、ルイズ達でも理解できるように話すのが面倒だから、説明しないってのが最大の理由なのだが。 しかし、デルフリンガーはエニグマの紙に入れられた時にDISCの事を勝手に知ったらしい。 「……私にも良く分からんな」 「分からねぇ。って事はねぇだろ?」 「とにかく分からん」 奇妙なダンジョンに潜った時に見付けて、原理も知らないまま有効活用しているだけのディアボロには詳しい事は分からない。 ホテルのベッドを占領し続けている、ホモ二人の片割れが何か言っていたようなも気もするが、頭からは綺麗に忘れ去られている。 そんなこんなで、デルフリンガーとディアボロがダベっていると空が白み始めた。 「もう朝か……今日も1日あの娘っ子のきゃんきゃん声を聞かなきゃならんぜ相棒!」 「そう気にするほどでもない」 そんな事を口走りながら、ルイズのベッドに近付き、ベッドを殴り飛ばす。 ボゴォ! と凄まじい音を立てて、ルイズが飛び跳ねた。 そのままゴロゴロと床を転がり終えると、慌てた調子で立ちあがる。 「ひゃぁっ!?……もっと優しく起こしてって言ってるでしょ!」 そんなルイズの罵声を聞き流しながらも一緒に授業へ向かうディアボロ。 授業で魔法が披露されるのを見るのが楽しみなディアボロには行かない理由が無かった。 教室に入ってルイズの近くの席にドカッと座る。 ギーシュとの決闘やフーケ捕獲の功績から、その行為を咎める生徒は居なかった。 それから少し経った後、教室に長髪に黒いマントを纏った気味の悪い男が現れた。 その男――教師は、まず『疾風』のギトーと名乗り授業を始めた。 話口から性格を察すると、傲慢で自分の属性には絶対の自信を持っているようだ。 (つまらん授業だ) 等とディアボロが思っていると、何やらギトーの口車に乗ったキュルケが1メイル程の火の玉をぶっ放した。 ギトーは慌てる事無く、腰に差した杖を振って烈風を吹き出し火球を掻き消す。 ついでに烈風をくらったキュルケがこっちに吹っ飛んでくるが、避けるのが面倒なディアボロは何もする事無く突っ立っている。 ドガ! 衝突音と共に、キュルケとディアボロが5の固定ダメージを受けた。 「痛たた……受け止めてくれたって良いじゃないの」 「面倒だ」 体を摩りながらキュルケが抗議の声を上げる。が、ジト目はすぐに熱っぽい視線に変わった。 「酷いわディアボロ……それにアナタって結構セクシーな体してるわねぇ」 今の会話の何が気に入らないのかルイズがキュルケを睨み始めるが。 問題の原因であるギトーは無視するかのように授業を続ける。冷静な男である。 「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。 ……簡単だ。『風』は全てをなぎ払う。『火』も『土』も『水』も『風』の前では立つことすらできない 残念ながら試した事は無いが、『虚無』さえも吹き飛ばせるだろう。それが『風』だ」 「目に見えぬ『風』は、見えずとも諸君らを守る盾となり、必要とあらば敵を吹き飛ばす矛となるだろう。 そしてもう一つ、『風』が最強たる所以は………」 何と言うか、授業関係無しで俺は強い!って言いたいだけじゃないのか?と疑問に思うが。 そのギトーの言葉を聞きながらもディアボロは冷たい視線を向けるだけだ。 (ふん…自分の能力の短所も把握していないカスが偉そうにな……) その視線の先で、何やらギトーが杖を立てて詠唱を始めている。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 しかしその時、突然そこに変な格好をしたコルベールが入って来た。 (何だあの格好は?) 服を着ていると言うよりも、服に着られていると言う方がしっくりくる姿である。 ……ディアボロも人の事が言えないぐらい変な格好をしているが。 入って来た時と同じ、慌てた調子で授業の中止を告げるコルベール ギトーの授業に飽きたディアボロが話半分に説明を聞いていると。 要約すれば、偉い人が来るから出迎えの準備を生徒全員で行うという事のようだ。 そして、ここは魔法学院の正門。 王女を乗せた馬車が現れるのと同時に生徒全員が杖を掲げる。 オスマンが馬車を出迎えると同時に、凄いタイミングの良さで絨毯が敷かれて馬車の扉が開き、何やら面倒くさい事をやった後に王女が出て来た。 生徒達から歓声が沸きあがる。 それに、王女はにっこりと薔薇のような微笑を浮かべて優雅に手を振る。 「あれが王女か?」 「当然じゃない、アンリエッタ様はトリステインの花って言われてるのよ」 確かに綺麗な容姿をしているが、ディアボロにとってはそこら辺に居る女とあまり変わらない。 早々に王女への興味が失せ始めて視線をそこら中に向けるディアボロ その時、隣に居るルイズが、はっとした顔になった。それから顔を赤らめる。 (何だ?) 何が見えたのか気になったディアボロはルイズの視線の先を確かめてみると。 その先には見事な羽帽子を被った、凛々しい貴族の姿があった。鷲の頭と獅子の胴を持ったこれ又見事なモンスターに乗っている。 何やらキュルケもその男に視線を向けているが、格好良い男なのでキュルケのストライクゾーンにでも入ったのだろう。 (……敵になりそうな気がするな) 男の姿から危ない物を感じ、このままピストルズを発射して、射殺したい欲求に駆られるディアボロ。 (今は無理か・・・・・・) しかし、こんな人目のある場所で凶行に及ぶ事は出来ないので、歯噛みしつつも男の行方を目で追うだけに止める。 三者三様の視線が浴びせられている事に反応しないで男は去っていった。何気に命拾いもしている。 そして夜になった。 部屋に戻ったルイズとディアボロ、しかし、ルイズはベットに座ったまま動こうとしない。 いや―――立ちあがったと思ったら……再びベッドに腰掛け、枕を抱いてほんやりする。 何やら違和感を感じたが、彼にとってはルイズがおかしくなろうが如何でも良い。 (あの男に一目惚れでもしたのか?) 昼間見た貴族の姿を思い出して、当らずとも遠からずな予想をするディアボロ。 そのまま、ピッツァを食っているだけだったが。何かに気付いて顔を上げる (何やら部屋に近づいて来る奴が居るな………) 足音を忍ばせているのが怪しいが、エアロスミスの感知では敵意を特に感じない。 なんだなんだと思ってると、その近付いて来た奴が部屋の前に接近。ドアがノックされた。 規則正しく長く2回、短く3回叩かれ、その音を聞いたルイズが慌てた様子で立ちあがる。 ドアが開かれると、そこには、真っ黒な頭巾をすっぽりとかぶった少女が立っていた。 辺りを覗うように首を回すと、そそくさと部屋に入ってきて、後ろ手に扉を閉める。 「……あなたは?」 ルイズは驚いたような声をあげた。 それを遮るように、頭巾を被った少女は口元に指を立てると、マントの隙間から杖を取り出して軽く振った。 ルーンを呟く声と同時に、光りの粉が部屋を舞う。 「……ディティクトマジック?」 ルイズが尋ねて、頭巾の少女が頷く。 「どこに耳と目が光っているか分かりませんからね」 少女が頭巾を脱ぐと――――現れたのは昼間見た王女であった。 「姫殿下!」 ルイズが慌てて膝を付き。 「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」 アンリエッタの涼しげな声がそれに応えた。 そして (今のは一体何なんだ?) 先程の光の粉に対するディアボロの疑問に答える者は、この部屋には存在しなかった。 <<前話 目次 To Be continued...